こんなお悩みはありませんか?
①歯周病
主に歯垢や歯石が原因となり、歯肉や歯の周りの組織(歯周組織)に炎症がおこっている病気の総称です。
まず、歯垢の中の細菌が歯肉に入りこむことによって炎症がおきます(歯肉炎)。炎症が進行して歯周ポケットができ、そこに歯垢や歯石がたまり炎症がおきると歯周病になります。
歯周病菌がさらに増えると歯周組織に炎症をおこし、歯肉から出血しやすくなったり、膿がたまるようなります。すると、食事ができないほどの痛みを引き起こしたり、歯槽(歯と顎の骨をつなぐ構造)を溶かして顎骨折を起こすこともあります。
さらに、血管に歯周病菌が侵入すると、口腔内だけではなく、心臓や腎臓などのさまざまな臓器にも感染し炎症を引き起こす場合もあります。
→ホームデンタルケアをして、歯周病を予防することが大切ですが、歯周ポケットにたまった歯垢のクリーニングや、唾液中のカルシウムやリンを取り込んで石灰化することでできた歯石は、ホームデンタルケアで除去することが困難なため、麻酔下での歯石除去が必要になってきます。
➁外歯瘻
歯周病が進行して、歯の根本に歯周病菌が侵入し膿がたまると、行き場をなくした膿を排出するために皮膚に穴を開けます(瘻管)。それによって顔が腫れたり、皮膚から膿が出てくることがあります。抗生剤を飲むことで、一時的に腫れをひかせることができますが、原因の歯を治療しなければ、再発することが多くみられます。
症例紹介
症例➀ 重度歯周病
歯石沈着が重度にみられます。
切歯(前歯)は特に歯肉減退が見られ、歯根が露出しています。切歯と臼歯は歯肉減退と動揺(ぐらつき)が見られたため、歯を残すことが難しく抜歯を行いました。
犬歯を大事に残していくためにも、これからのホームデンタルケアが大切です。
症例➁ 重度歯周病
全体的に歯石が重度に沈着しています。
さらに、切歯(前歯)と犬歯に排膿が見られます。切歯と犬歯、後臼歯は歯肉減退と動揺(ぐらつき)が見られたため、残念ながら抜歯をしなくてはなりませんでした。犬歯抜歯後の穴は大きくて深いため、歯肉粘膜の一部を剥離し、その穴を塞ぐための弁(フラップ)を作り縫合します。犬歯抜歯後のフラップ縫合を適切に行わなければ、口鼻腔瘻(口腔と鼻腔が貫通すること)になる可能性があるため、慎重にフラップ縫合を実施しました。
前臼歯は歯肉減退が見られましたが、動揺は見られず、飼い主様の希望もあり抜歯は行いませんでした。
歯科処置後2週間は、フラップ縫合離開を防ぐため、ご自宅でもフードなどに注意していただきます。